前号からの続きを説明します。
三、技術の訓練は、常に試合に関連して行わなければならない。
昔から“稽古は試合の如く、試合は稽古の如く”という箴言があります。
この稿(その二)で、“稽古の目的”で説明しましたように、平素の稽古は、試合のとき立派に勝つためにやるのだと申しました。平素の稽古を疎かにしておいて、試合に勝つことも、昇段審査に合格することもできません。稽古と試合は、やる内容は全く同じです。いつも真剣に理合に則った稽古をしておれば、試合や昇段審査の時、そのままやればいいわけですが、理屈通りにゆかないのが剣道の難しさです。稽古は、やり直しがきくことが利点ですが、試合には、やり直しはききません。平素の稽古のとき、一本一本試合をやるつもりで一所懸命になってやることです。うまく打ったときも打たれたときも工夫することです。特に打たれたときや、負けたときに、なぜ打たれたか、なぜ負けたのかを工夫して下さい。工夫のないところに進歩はありません。先生に聞いてみることも大事なことです。
四、剣道の技術は正面打ちを根幹として基本打突を行い、応用のしかけ技、応用の技の順に重視して行うことが望ましい。
沢山の技の中で、面技が根幹になります。面技をうんと稽古して打てるようになれば、外の技は自然にできるようになります。立派な面が打てるようになったら、その人の稽古は立派だといえます。特に初心者や幼少年の指導では、正確な面の打ち込み(正面の基本打ち)をみっちり指導して頂きたいものです。
“横振りに名人なし”という格言があります。竹刀は縦々に振れということです。